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Nanpa is Suicide

誰でも読めるが、誰にも読めないブログ。

天国のナンパ講習

ナンパ

高石さんのナンパ講習を受けてきた。

 

とても有益な講習だった。高石さんとの時間を頭の中で反芻している。

14時に渋谷のハチ公前でお会いした。ふんわりとした雰囲気があった。香水をつけられていたのか、いい匂いがした。香水と彼の雰囲気は合っていた。

 

まず、東武デパートの前で想像力を使う練習をした。

ナンパにおける「想像力」とは何か。それは、道行く女の子の「日常生活」を想像することである。女の子の服や身体動作などから想像していく。

東武デパートの前に立ち、二人で駅前を行きかう人々を見る。

彼は自分の想像を僕に語り始めた。それは突然のことだったので、僕は少し驚いた。彼の想像は「よくできている」ものであった。それはひとつの物語をなしていた。「彼女はヴィトンのカバンを持っている、歩き方はフラフラしている。カバンを腕にかけている。あれはオープンな状態で…」と語り急に語り始めた。この程度の観察なら、普通のナンパ師でもできる。しかし、彼の想像力はさらに飛んでいく。「彼女は自分に自信を持っている。でも、まだ彼女は『不安定』だ。まだ『もっと違う自分があるはずだ』と求めている。だから、彼女には普通に声をかけてはダメだね。なにかおもしろく声をかけないと…」

このようにして、彼は僕に想像を語り続ける。ある程度僕に語りかけると、今度は僕が彼に促されて自分の想像を語る。僕はなるべく「正解」を求めずに、自分の想像を拙くも語る。僕の想像は、彼のような流れ出す想像ではない。途切れている。彼はそれに耳を傾ける。彼は聞いていないようで、よく聞いてくれる。そして、「もっとこう見えるんじゃないか」と次に彼の想像も語る。

彼は語る時、僕を決して見ない。僕を見ずに、いつもどこか遠くを見ながら、しかし横にいる僕に言葉をしっかり届けるように、彼は語る。この彼の語り方はずっとそうだった。彼は語り終わると、「今の話、なんとなくわかりますか」と僕に必ず聞いてきた。

 

そして、センター街へ移動。

移動中に立ち方と歩き方の指導が入る。彼に「腹筋に力を入れて、骨盤を立ててください」と言われた。僕は演劇をしていことがあったから「きれいな立ち方と歩き方」は知ってたつもりだ。つまり「どう身体を他人に見せるか」はある程度意識しているつもりだった。でも、自分の身体動作の変化が自分の「心理状態の変化」と影響し合っていることに対して、普段あまり意識していなかった。彼に言われた歩き方をする、そうして自分の心理状態を確認する。心が広くなる感覚。うつの人はうつむきながら歩く。僕は長い間うつむきながら歩いていたから、歩き方を変えた時に、かなりクリアに変化を感じられたと思う。

 

センター街で声をかける。

正直に言うと、ここははっきりと覚えていない。記憶が断片的だ。僕にとっては、あまりに多くのことを、話したり、意識したり、考えたり…していたからだろう。ここでのことは、頭ではなく、身体に残っている。

彼に最近の僕のナンパを話した。また、「僕がなんでナンパをしたいのか」も話した。「うつであった」という「欠落」が、共有できて僕はうれしかった。こんなことはめったにないことだから。「他人との関係性の貧困」によって「世界を知れない」ことが悲しい苦しい。この悲しみ苦しみが僕をナンパへと駆り立てる。

それから、彼は僕の話を聞いて、僕の声かけを見て、アドバイスをくれた。彼は僕を「型」にはめなかった。それは思考においても、身体においてもそうだった。なぜなら、ナンパには「型」はないからである。その人の「やり方」があるだけ。このことを理解している人はどれだけいるだろう。僕のナンパは「ナンパぽっいナンパ」だった。彼はそれを見て「話したい相手に、自然に話かけていいんですよ」と言った。そして、声をかける。女性に受け入れられる。女性の行先を知る、職業を聞く、今日何を買ったか…お互いの「ブロック」がひとつひとつはずれていき、関係性を発展させていく。それは「普通のコミュニケーション」だった。楽にナンパができるようになった。

僕はその「普通のコミュニケーション」に「ルーティン」を使ってしまう。「ルーティン」で落ちることもあるだろう。でも、女性からしたら、「この人はあたしとちゃんと話したくないんだ…」という印象を与えてしまう。

彼からの最も重要だったアドバイスは、「粘土を作りかえること」である。「粘土」とは、「自分の持つ他者イメージ」のことである。普通、ナンパでは女性の服装で「他者イメージ」を決める。「ギャル、JD、OL…だからこんな人だろうか…」とイメージを決めて自分の出方を決める。僕もそうしていた。僕の場合は、「粘土を置く」ことはできても、それを「作りかえる」ことが苦手であった。つまり、コミュニケーションをとる中で、「他者イメージ」を修正できないのである。これができないと、途中で会話が詰まってしまうし、相手に興味を持ったり、驚いたりすことはできない。相手の様々な側面を発見していくことが、大切なのだ。

 

声かけを続ける。

「身体の横のラインが緊張してますよ」など、僕の身体の緊張している部分を彼に指摘してもらって、それを意識する。そんなことを繰り返した。2時間くらい声かけして、ドドールへ入る。そこでも僕はいろいろ楽しかった。「ナンパの世界」のことについて、たくさん教えてもらった。また「うつ」のことも話した。「欠落」が近い人がこの世に存在することが、貴重なことに思えた。不思議な時間だった。

 

ドトールを出てまた声かけへ。

行く途中、「なぜ手をいつもブラブラさせているんですか」と言うと、彼は「僕はいつも自分の身体の緊張を意識して、それを取っているんです」と言った。また「人間は緊張している人を見ると、自分に他人の緊張が移ります。僕は相手の身体のどこが緊張しているかをいつも見ているんです」とワクワクしながら話していた。

公園で武術や気功を少し教えてもらう。緊張の取り方、相手に任せること、腕が首の骨からはえていることなどを学んだ。

それから、ロフトの前にひとり女性が立っていた。僕は声をかけた。30分近くその女性と話した。路上でここまで長い時間話したのは初めてであった。グダられたが、バンゲした。彼女は「自分がどう見えてるか」を僕に何度も聞いてきた。

隠れていた彼のもとへもどる。彼女とのやり取りを伝える。彼女が初対面の僕にかなり自分の自慢をしてきたと言った。そこで、彼が言ったこと。

「彼女はきっと寂しかったんでしょうね。自分がどう人に見られているかをひどく気にしている。それを言われてうれしかったんでしょう」

 

こうして、ナンパ講習は終わった。

「楽に」ナンパできるようになった。天国にいるような、なんだかフワフワした時間を過ごした。また違う感覚で、僕は渋谷にいることができるようになった。それはきっと気持ちいいことだと思う。

 

 

この講習の一か月後に、僕は童貞を捨てました。

これは、僕の童貞卒業の話を書いた記事です。

好きでない女の子と3日間過ごしてみた(後編)

もしよろしければ、読んでみてください。

 

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以下の記事は、講習後に高石さんとお会いした時の話です。

高石さんが書いてくださいました。

「誰かに自分を投影することは…」

 「モテる」

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。